給料の問題から非正規雇用で移住することは難しいことがわかり、今後の就活方針について再度考えることになった。
といっても、対応策は1つであり地元で就職するというものだ。
しかし、既卒職歴なしを雇ってくれる会社は果たしてあるのだろうか。
ハローワークに行っても現時点で既卒職歴なしを雇ってくれそうな求人はなかなかない。
そこで、視点を変えて民間企業へ就職以外の道をネットで探してみることにした。
なにか既卒でも公平に応募ができるものはないのだろうか。
ネットで情報収集していると、公務員試験の文字が目に飛び込んできた。
詳しく調べてみると公務員試験は既卒に優しいらしい。
そういえば、大学時代の友人の周りにも既卒で勉強して公務員になった人がいると聞いたことがある。
「もう公務員しかない!」と思ったが、やはり既卒という立場が気にかかる。
既卒を含めどんな立場の人でも本当に公平に試験を受けられるのか不安を感じていた。
この不安を払拭するために、思い切ってハローワークの職員に「既卒は公務員試験に不利なのか」と尋ねてみた。
そうすると職員の人が「公務員試験はテストの点数で決まるものなので関係ありません」と回答してくれた。
これを聞いたとき、公務員も視野に入れようと思った。早速公務員試験について情報収集を開始した。
公務員試験と一口に言っても様々な区分があることがわかった。
とりあえず地方上級と地方初級試験に絞って参考書を買い揃えた。
参考書を買い揃えて思ったが、範囲が広すぎる。
こんなに分厚い参考書を何冊もやらなければいけないのかと心が折れた。
しかし、既卒である自分にとって残された道は公務員試験しかない。そう思い、勉強を開始したのであった。
8月中旬、お盆というイベントがある。親戚一同が集まることになるイベントだ。
私にとってお盆というイベントは憂鬱である。
なぜなら、無職という状態で親戚に会いたくないからである。
「なぜ就活に失敗したのか」や「ただ家にいるのか」などいろいろ言われるに違いない。
そう考えると、お盆というイベントから逃げ出すことばかり考えている。
しかし、私の家では強制参加のため、逃げることは許されない。
憂鬱な気持ちを抱えながら、しぶしぶ参加した。
みんな気を使ってくれたのか、私が就活に失敗したことや、ただ家にいることについてはほとんど触れてこなかった。
私としては助かったが、なんだか申し訳ない気持ちにもなった。
お盆というイベントを乗り越え、気分転換も兼ねて本屋に行った。
公務員試験の参考書を見ていると、近くにいたおじさんが「社員を正しく辞めさせる方法」というような本を読んでいた。
この光景を見た瞬間、なんだか悲しくなった。
この不景気の中、私のような求職者ももちろん大変だが、経営者もいろいろと大変なのだろうと思った。
正社員でもいつクビにされるかわからない世の中なのに、新しい人を雇う余力は残されていないのではないか。
そう考えると公務員になりたいという気持ちが次第に強くなっていった。
公務員は景気に左右されにくく、安定している。
公務員になってしまえば、二度と就活という苦しみを味わらなくて済むと思った。
公務員になりたいという気持ちが強くなったのか、公務員試験の勉強のやる気が出た。
おかげで10時間くらい勉強できた日もあった。
就活に目もくれず、ひたすら公務員試験の勉強に取り組むようになった。
公務員試験の科目の中で、「判断推理」というものがある。
私はこの判断推理が苦手である。
この判断推理の問題は暗記で解けるものではなく、地頭がよい人が有利な問題が出題される。
私の場合、解説をいくら読み込んでも理解できない。
この科目に取り組んだ瞬間に、独学じゃ無理だと思った。
大学時代に「公務員試験は捨て問を作るのが重要」だと聞いたことがあるが、判断推理をすべて捨てるとなると合格は相当厳しくなるだろう。
判断推理の中でも、理解できそうな問題はしっかりやり、解説を読んでもさっぱりわからない問題は捨てて、他の科目で取り返すなど戦略を立てる必要がありそうだ。
解説を読んでも理解できない問題に多くの時間を使うわけにはいかない。
公務員試験本番まであと1カ月しか時間が無いし、なによりやる気がなくなっていく。
自分のやる気を保ちつつ、どうすれば効率的に勉強を進めることができるか考えなければならない。
公務員試験の勉強のやる気が出たのは喜ばしいことだが、公務員試験は難しく人気があるため合格できる保証はどこにもない。
なので、公務員試験の勉強と就活を両立してやっていこうと思った。
勉強の気分転換も兼ねてハローワークに行こうと思ったが、時間の無駄遣いになると考え、自宅で求人を探すことになった。
普段はインターネットでハローワークの求人を見ていたが、ふと大学時代に使用していた就職サイト達を思い出した。
私がよく使っていたのはリクナビである。なので、久しぶりにリクナビを覗いてみた。
リクナビを見てみると既卒者応募可の求人がけっこうあることがわかった。
今後はリクナビもたまにチェックしてみようと思った。